債権とは

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債権関係

債権関係:一方当事者(債権者)が相手方(債務者)から一定の利益を獲得できる地位を取得し、他方で、相手方がこの利益を実現する義務を負う。

債権

債権には2つの捉え方がある。

  • 権利利益説:権利は、法によって保護される利益

権利利益説によれば、債権とは、債務者から一定の利益を獲得できる地位をいう。

  • 権利意思説:権利は、自然現象や他人の行為を支配する個人の意思の力

権利意思説によれば、債権とは、債権者が債務者に対して一定の行為を請求することができる権利をいう。

権利利益説と権利意思説の違いは、権利利益説においては、国家が、契約により創造された債務者から一定の利益を獲得できる地位を保証するのに対し、権利意思説においては、債権の発生と同時に請求権も発生する。

債務

債務:債権者に対して一定の利益を獲得させるための拘束を受けた債務者の地位(権利利益説)。

結果債務:債権者利益が実現することを保障する債務。

手段債務:合理的な注意を尽くす債務。

  • 給付義務:債権者利益を実現させる義務。
  • 保護義務:債権者が保有している完全性利益(生命・身体・健康・所有権その他の利益)を侵害しないように配慮すべき義務。

債務者が、保護義務違反を負うか否かは、以下3点で判断される。

(1)完全性利益の危険が、契約利益を実現することに伴う特別な危険であるか否か。

(2)債権者が、自己の法益の管理・保護を債務者に委ねざるを得なかったか。

(3)債権者の法益の管理・保護を委ねられた債務者が、契約利益の実現過程で、債権者の法益に対し合理的な注意を尽くしたか。

  • 受領過程における保護義務:債権者が債務の履行を受けるにあたって、債務者の完全性利益を保護する義務。

安全配慮義務

安全配慮義務:雇用関係において、使用者が被用者の生命・身体・健康の安全に配慮する義務。

国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負つている(最判昭和50年2月25日民集29巻2号143頁)。

最判昭和50年2月25日

【事実】

自衛隊員Aは、昭和40年7月13日、八戸駐屯地方第9武器隊車両整備工場において車両整備に従事していたところ、訴外Bの運転する大型自動車にひかれ死亡した。Aの両親らXは、国であるYに対し、自動車損害賠償保障法3条に基づいて逸失利益・慰謝料を損害賠償として請求する訴えを提起した。

【判旨】

国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び 健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。) を負つているものと解すべきである。

のような安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入つた当事者間において、 当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであつて、国と公務員との間においても 別異に解すべき論拠はなく、公務員が前記の義務を安んじて誠実に履行するためには、国が、公務員に対し安全配慮義務を負い、これを尽くすことが必要不可欠であり、また、国家公務員法93条ないし95条及びこれに基づく国家公務員災害補償法並びに防衛庁職員給与法27条等の災害補償制度も国が公務員に対し安全配慮義務を負うことを当然の前提とし、この義務が尽くされたとしてもなお発生すべき公務災害に対処するために設けられたものと解されるからである。

評価

判例によれば、安全配慮義務とは、危険防止のために適切な人的・物的設備を編成し、安全教育を施すことを内容とし、労使関係における安全管理体制の一種である。つまり、安全配慮義務は、実質上の労務関係が存在していることが前提となるため、その他の契約の場面では用いられない概念である。その点で、安全配慮義務は保護義務から区別される

しかし、今日では、安全配慮義務を保護義務における特別領域であると捉える見解が有力である

安全配慮義務は、使用者と被用者の間に契約関係がなくても、実質的な労働関係が成立している場合には認められる。

安全配慮義務の履行補助者

履行補助者:安全配慮義務を負う者(使用者)から管理支配権原を託された者。

履行補助者が、安全のための人的・物的組織の編成に注意を尽くさなかったとき、安全配慮義務の履行補助者の過失が問われる。

安全配慮義務違反の責任

安全配慮義務を違反に基づく損害賠償責任は債務不履行責任の性質を有する。

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