権利能力なき社団の法律関係

権利能力なき社団とは、法人と同じような実体を有しながら、権利能力を有しない団体のことを言うが、権利能力なき社団が法律行為を行った場合は法律関係はどうなるのだろうか。以下では、最判昭和39年10月15日(民集18巻8号1671頁)を例に権利能力なき社団の法律関係について検討する。

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事実

権利能力なき社団

団体Aは、B社団法人の支部名義で設立された。Aの事業は、本件マーケットの設立と運営であり、マーケットの店舗を有する者は団体Aの構成員であり、構成員の異動があったときは、団体Aの承認が行われ、構成員の変更にも関わらず、団体Aは同一性を維持しつつ存続していた。

Aは、Cとの間で本件土地の賃貸借契約を行い、店舗を設立した。Aは、南北3つの店舗のうち中間列の建物を撤去し、道路を拡張することを決定した。しかし、中間列の所有者であるY₁とY₂がこれに反対し、団体Aからの脱退した。

Aは、株式会社に改組し、本件土地を賃借することになり、X株式会社が設立され、Aの権利義務を包括承継した。Xは、本件土地の賃借権を譲り受け、Cの相続人Dらは、その譲渡について承諾を与えた。そこで、XはDらに代位して、Y₁・Y₂に対して建物を収去し、土地の明渡しを求めた。

1審⇒Xの請求棄却 2審⇒Xの請求認容

Y₁・Y₂が上告

判旨

上告棄却。

法人格を有しない社団すなわち権利能力のない社団については、民訴四六条がこ れについて規定するほか実定法上何ら明文がないけれども、権利能力のない社団と いいうるためには、団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、 構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によつて代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているも のでなければならないのである。しかして、このような権利能力のない社団の資産は構成員に総有的に帰属する。そして権利能力のない社団は「権利能力のない」社団でありながら、その代表者によつてその社団の名において構成員全体のため権利 を取得し、義務を負担するのであるが、社団の名において行なわれるのは、一々す べての構成員の氏名を列挙することの煩を避けるために外ならない。

団体Aは、支部とい う名称を有し、その規約は前記本部の定款と全く同旨のものであつたが、しかし、それ自体の組織を有し、そこには多数決の原則が行なわれ構成員の変更に拘らず存続をつづけ、前記の本部とは異なる独立の存在を有する権利能力のない社団として の実体をそなえていたものと認められるのである。従つて、Cと右権利能力の ない社団であるAの代表者との間で締結された本件土地賃貸借契約により、 いわゆるAの構成員全体はAの名の下に本件土地の賃借権を取得した ものというべく、右と同趣旨の原判決は正当である。

解説

本判決は、いわゆる権利の力なき社団たる要件を提示したこと、そして団体の財産の帰属を示した点で、大きな意味を持つ。つまり、①団体としての組織を備えていること、②多数決の原則が行われていること、③構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続すること、④組織によつて代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していること、が権利能力なき社団の要件である。そしてその財産は、構成員の共同所有(総有)になるとして、財産の管理処分が団体の決定によるとした。

私見としては、本判決の結論は妥当だと思う。しかし、上記4つの要件には問題がある。まず、②の多数決の原則を採用しているという要件は必要ないように思う。多数決が採用されていることが、法人類似の性格を有する根拠になるとも思えないからである。さらに、③の要件は明確性に欠けるように思う。団体がどの程度の同一性を保てばよいのかが明確ではない。

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