民事訴訟とは

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意義・目的

訴訟とは、裁判所が法律上の争訟を裁判する(裁判所法3条1項)ためにとられる手続のことをいい、特に民事訴訟という場合には、私人間の法律関係の紛争に関する訴訟を意味する。

  • 権利保護説:私人の権利救済を実現する
  • 私法維持説:私法秩序を維持する
  • 紛争解決説:私的紛争を解決する
  • 多元説:権利保護、私法維持、紛争解決いずれもが民事訴訟の目的とする
  • 手続保障目的説:当事者を対等に引き上げる手続規則に基づき、当事者間に論争の場を保障する

紛争解決方法

⑴交渉

⑵裁判外の和解

民法695条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

⑶訴え提起前の和解(即決和解、起訴前の和解)

法275条1項 民事上の争いについては、当事者は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立てをすることができる。

⑷調停:第三者の介入による当事者間の合意による紛争解決。

  • 司法型

民事調停法の定める民事調停

家事事件手続法の定める家事調停

  • 行政型

建築紛争に関する建設工事紛争審査会における調停

公害紛争に関する公害等調整委員会及び都道府県公害審査会等における調停

  • 民間型

各地の弁護士会が運営する紛争解決センターにおける調停

司法書士会や社会保険労務士会などその他の士業が運営する調停

PLセンターが運営する調停

⑸仲裁:当事者が合意により、紛争解決を第三者の判断に委ねる。

  • アドホック(ad hoc)仲裁:個々の紛争ごとに当事者の合意を得て仲裁を行う。
  • 機関仲裁:常設の専門仲裁機関に仲裁を依頼して行われる。
  • 公的仲裁機関
  • 民間仲裁機関

以上の3つが、裁判以外での紛争解決方法で、ADR(Alternative Dispute Resolution)と呼ばれる。

  • 裁判:国家機関による強制的かつ最終的な紛争解決方法。

法源

狭義の民事訴訟法:民事訴訟法(平成8年法律第109号)

広義の民事訴訟法:民事訴訟費用等に関する法律、人事訴訟法、民事執行法、民事保全法、破産法、民事再生法、裁判所法、弁護士法、民事訴訟規則などを含む民事訴訟に関係する法令

機能的分類

  • 効力規定:当事者や裁判所に一定の義務を課し、違反した場合は、行為や手続が無効になる規定。
  • 強行規定

民事訴訟制度の根幹、原理に関わる法規。裁判所の裁量や当事者の意思により効力の変更をすることができない規定。Ex)裁判所の構成、裁判官の除斥、専属管轄、口頭弁論の公開、必要的口頭弁論、当事者能力、訴訟能力、不変期間などに関する規定

  • 任意規定

当事者の合意により効力を変更すること、また当事者が異議を述べないことにより、違反を不問に付すことができる規定。(1)当事者の特約が法規に優先する。(2)不利益を受ける当事者が適時に異議を述べないときは瑕疵が治癒される。

  • 訓示規定:各種の規定のうち、裁判所や行政庁に対する指示としての性格をもつにすぎず、それに違反しても訴訟上の効力に影響が生じない規定。(1)規定に違反しても、行為、手続が無効にならない。(2)義務違反に対する制裁が用意されていない。

訴訟と非訟

非訟事件民事の法律関係に関する事項について、終局的な権利義務の確定を目的とせず、裁判所が通常の訴訟手続によらず、簡易かつ弾力的な手続で処理し判断をする事件。Ex)非訟事件手続法に規定されている事件、家事事件手続法所定の家事審判事件(成年後見開始、離婚後の監護に関する処分、遺産分割等)、同法による家事調停事件、借地借家法の定める借地非訟事件、民事調停法による民事調停事件

訴訟事件が本来の司法作用であるのに対し、非訟事件は裁判所が行う行政作用である。

訴訟事件 非訟事件
口頭弁論(必要的口頭弁論) 口頭弁論ではなく審尋による審理
公開の法廷(公開原則) 手続の非公開(非訟30条)
対立する当事者双方の主張立証(対審原則) 対審原則なし
法定の証拠調べ(厳格な証明) 職権による証拠調べ(非訟49条)
判決 簡略な方式(非訟54条)
控訴・上告(二度の再審査) 一度の抗告、判決を職権により取消し、変更することができる(非訟59条)

判決手続

基本理念

  • 公正と効率(適正・公平・迅速・経済)

適正:真実に即した裁判を行うこと。

公平:裁判所が平等に当事者を取り扱うこと。

迅速:訴訟手続が不当に停滞・遅延しないこと。

経済:訴訟に要する有形・無形の負担を低減すること。

  • 信義誠実の原則

2条 裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。

  • 手続保障

憲法32条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

手続の概略

①紛争の発生~訴え提起

②訴えの提起~第一回口頭弁論期日前

③第一回口頭弁論期日

④争点及び証拠の整理

⑤証拠調べ期日

⑥最終口頭弁論期日

⑦終局判決

⑧上訴

⑨判決の確定

⑩判決の実現

訴訟費用

敗訴者負担の原則

61条 訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。

訴訟費用には、弁護士費用は含まれない。

勝訴の当事者が、不必要な行為をした場合(62条)や訴訟を遅滞させた場合(63条)には、裁判所は、訴訟費用の全部または一部を負担させることができる。共同訴訟人が共に敗訴の場合は、裁判所は原則として等しい割合で訴訟費用を負担させるが、事情により連帯負担や一方当事者に全部負担をさせることができる(65条)。

資力が不十分な当事者の救済制度

  • 訴訟救助:訴訟費用の支払猶予

82条 訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る

  • 法律扶助

民事法律扶助法。

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