民事訴訟手続

スポンサーリンク


処分権主義

処分権主義:民事訴訟の当事者に、訴訟の開始、審判対象の特定やその範囲の限定、判決によらない訴訟の終了について、決定する権能を認め、裁判所は当事者の決定に拘束されるという原則。

根拠=私的自治の原則

機能

訴訟の開始(訴えなくして判決なし)

審判の対象

246条 裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。

訴訟の終了

上訴

訴え

訴え:ある者(原告)が、裁判所に対して、他の者(被告)との関係における特定の権利及び法律関係の主張を示し、これに基づき、一定の内容及び形式の判決を求めること。

  • 単一の訴え:1つの請求についての審判を求める訴え。
  • 併合の訴え:複数の請求についての審判を求める訴え。

請求:原告が被告に対してする特定の権利の主張。

訴えの種類

  • 給付の訴え:被告に対する給付請求権の主張に基づき、被告に一定の作為・不作為を命ずる判決を求める。

例:売買代金支払請求、所有権移転登記請求、建物収去土地明渡請求

給付判決が確定するか、仮執行の宣言を付した判決がなされると、強制執行を求めることができる(執行力、民事執行法1項1号・2号)。

  • 確認の訴え:原告が特定の権利又は法律関係の存否の主張に基づき、それを確認する判決を求める。

例:土地所有権確認の訴え、債務不存在確認の訴え

確認判決が確定すると原告の主張する権利の存否に係る判断について既判力が生じる。

  • 形成の訴え:原告が、一定の法律要件を主張し、裁判所に特定の権利又は法律関係の変動をもたらす判決を求める。

例:離婚の訴え、株主総会決議取消しの訴え

形成判決が確定した場合、判決で宣言された権利又は法律関係を変動が生ずる(形成力)。

  • 形式的形成の訴え

形式的形成訴訟:一種の形成訴訟であるが、形成原因が具体的に定められておらず、判決の具体的内容は、裁判所の裁量に委ねられている本質的には非訟事件であるが、形式的に民事訴訟として扱うもの。

最判昭和43年2月22日民集22巻2号270頁

【事実】

隣接する土地の境界に争いがある場合に、裁判所の判決によって境界線を確定することを求める訴え。土地の境界をAとするかBとするか。

筆界確定訴訟

【判旨】

境界確定の訴は、隣接する土地の境界が事実上不明なため争いがある場合に、裁判によつて新たにその境界を確定することを求める訴であつて、土地所有権の範囲の確認を目的とするものではない。したがつて、上告人主張の取得時効の抗弁の当否は、境界確定には無関係であるといわなければならない。けだし、かりに上告人が本件a番地のbの土地の一部を時効によつて取得したとしても、これによりa番地のcとa番地のbの各土地の境界が移動するわけのものではないからである。上告人が、時効取得に基づき、右の境界を越えてa番地のbの土地の一部につき所有権を主張しようとするならば、別に当該の土地につき所有権の確認を求めるべきである。それゆえ、取得時効の成否の問題は所有権の帰属に関する問題で、相隣接する土地の境界の確定とはかかわりのない問題であるとした原審の判断は、正当である。

本判例は、隣接する土地所有者の争いを、所有権の及ぶ範囲をめぐる争い(確認訴訟説)ではなく、公法上の境界に着目する争い(形式的形成訴訟)としている。

形式的形成訴訟の特徴

  • 裁判所は、原告の主張に拘束されない(原告の主張よりも有利な境界を定めてもよい、246条の例外)。
  • 不利益変更の原則(304条)が適用されない。
  • 弁論主義が妥当しない。
  • 証明責任が適用されない。
  • 裁判所は、請求を棄却することができず、一定の境界を確定しなければならない。

訴訟物

訴訟上の請求(訴訟物):原告による一定の権利主張及びそれに基づく訴えの内容。

請求の特定

133条2項2号によれば、訴状には、「請求の趣旨及び原因」を記載しなければならない。つまり、原告は、訴訟物を特定し提示する必要がある。

請求の趣旨=原告の要求する判決の内容。

請求の原因=原告による権利主張を特定する事実。

請求の特定は処分権主義を貫くためにも必要不可欠である。また、第一審の管轄裁判所や訴え提起の手数料額の決定の基礎にもなる。さらに、客観的併合該当性(136条)、訴えの変更該当性(143条)、二重起訴該当性(142条)、既判力の客観的範囲(114条1項)といった問題について考慮すべき基準ともなる。

訴訟物論争

Case

タクシー会社Yのタクシーに乗ったXが事故に遭い、重傷を負った。XはYに対し、①不法行為に基づく損害賠償請求権(民709条)及び②契約上の債務不履行に基づく損害賠償請求権(民415条)を主張することができる。
旧訴訟物理論(実体法説)
新訴訟物理論(訴訟法説)
定義
訴訟物の単位につき、実体法上の個々の権利を基準とする。
訴訟物の単位につき、紛争の実体に照らして給付を求め得る権利を基準とする。
Case
①②それぞれ別の請求権である以上、訴訟物としても別のものと扱われる。
①②いずれも一定の受給権に基づくことには変わりないので、訴訟物は1つと扱われる。
問題

・紛争の蒸し返し。

・二重の認容判決。

・裁判所の釈明義務の拡大

・請求権の実体法上の法的性質が明らかにならない。

確認訴訟

確認訴訟は、旧訴訟物理論と新訴訟物理論、いずれを採用しても、実体法上の権利の個数に基づき訴訟物の個数を判断する。また、権利の発生原因が何であるかにかかわらず、同一の権利は一個の訴訟物を構成する。

形成訴訟

旧訴訟物理論:形成原因が異なれば、別個の訴訟物を構成する。

新訴訟物理論:形成原因が異なっても、一定の形成結果を求める法的地位が1個の訴訟物を構成する。

訴えの提起

訴状の提出

133条 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。

2  訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一  当事者及び法定代理人

二  請求の趣旨及び原因

訴えは訴状を裁判所に提出することによって行うが、簡易裁判所では、口頭での訴えも認められる(271条)。訴状には、当事者及び法定代理人と、請求の趣旨及び原因を記載する必要がある(必要的記載事項)。また、任意的記載事項として、請求を理由づける事実、立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載することが求められる(民事訴訟規則53条)。

訴状の送達

138条1項 訴状は、被告に送達しなければならない。

被告への訴状の送達によって訴訟係属が生ずる。

スポンサーリンク



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする