商法の意義と法源

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商法とは

商法の意義

商法には、形式的意義の商法と実質的意義の商法の2つがある。

形式的意義の商法とは、明治32年法律48号として制定された法律で、第一編「総則」から始まり、第二編「商行為」、第三編「海商」までを規定する商法典のことである。

実質的意義の商法とは、商法として学問上統一的にかつ体系的に把握されるべき法領域であり、形式的意義の商法に、手形法、小切手法、会社法といった実質的には商法に含めて考えることができる規定を含めた概念である。実質的意義の商法において、商法とは企業法、すなわち、企業を対象として、企業をめぐる経済主体の利益を経済主体間の権利義務秩序として規制する私法である企業法説)。

民法との関係

商法は民法の特別法の立場にある。民法は広く一般私人の権利義務関係を規律するのに対して、商法は企業間の権利義務関係を規律する。特別法は一般法に優先して適用されるため、民法と商法の双方が適用可能な場面においては、商法が優先的に適用される。

商法が優先的に適用されることによって違いが生じるものとしては、法定利率に関する問題がある。民法404条は、法定利率を年5%としているのに対して、商法514条は、法定利率を年6%としている。企業間の商取引の場合は、商法514条が適用され、法定利率は年6%となる。

商法の特色

商法には次のような特色が存在する。

  • 商行為に関する規定は、民法の規定に比べて、営利性を明らかに示した規定が存在する。商人がその営業の範囲内において他人のために行為をした場合の報酬請求権を定める商法512条など。
  • 継続的に反復され、集団的な処理が行われる商取引を容易にさせる規定が存在する。例えば、商法509条によれば、商人が平常取引を行っている者から契約の申込みを受けた場合、その諾否通知義務を怠った場合は契約が成立したものとみなされる。
  • 取引の円滑・確実化を図る規定が存在する。登記制度による公示制度や支配人の表見責任を定める商法24条など。

商法の法源

商法の法源には、商事制定法、商事条約、商慣習法、商事自治法が存在する。

商事制定法

制定法としては商法典商事特別法が存在する。商事特別法は、附属法令と特別法令に分けることができる。附属法令とは、商法施行法や商業登記法のように、商法典の規定を施行しまたは具体化するための法令である。特別法令とは、会社法、手形法、小切手法、担保附社債信託法のような商法典の規定を補充しまたは変更するものである。

商事条約

条約は特に国内法化することがなくても、批准と公布の手続を踏めば、国内法と同じ効果を持たせることができるものと解されている(憲法98条2項)。したがって、条約の締約国における国民相互の関係を直接規律する商事条約については、これも商法の法源と解すべきである。

商慣習法

商慣習法は、広い意味での商慣習に法としての確信の加わったものであり、法規範としての効力を有し、かつ、一地方的なものではなく全国的なものでなければならない。商慣習法は制定法の規定していない問題を取り扱ったり、制定法が現実に合わなくなったために有する欠陥などを是正する役割を有する。商慣習法は、裁判において裁判官が探知し適用することになる。

商事自治法

会社の定款・取引所の業務規程・手形交換所の手形交換規則

会社の定款のように、企業等の団体が構成員や内部者を拘束するために自主的に定める規則は、商法の法源に含まれる。取引所の業務規程や手形交換所の手形交換規則なども含まれる。

普通取引約款

普通取引約款とは、保険契約、運送契約、銀行取引契約などの特定種類の取引に適用される予め定型化された契約のことである。同種の取引が大量、反復、継続して行われる場合に、企業が取引を合理的に処理するために利用される。このような普通取引約款は、商事自治法の一種として、商法の法源としてみる見解もあるが、一般的には法源性は否定される。

→約款の拘束力について詳しい説明は以下を参照

約款による契約

法源の適用順位

商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがない限り、商法が適用され(1条1項)、商事に関し、商法に定めがない事項については、商慣習法、民法の順位で適用される(2項)。

商法が商慣習法よりも優先的に適用されることについては批判がある。商慣習法は進歩的であり、企業取引の中でより合理的な商慣習が誕生する可能性がある一方で、商法は固定的であり、もはや現実の企業取引に適合しない場合もある。このような場合には、例外的に商慣習法を優先的に適用することも有り得るだろう。