憲法の基本書・判例集

憲法は全ての法律の基本となるものであり、多くの人が最初に学ぶものです。そのため、参考書等は何よりもわかりやすさを重視して選ばなければなりません。本記事ではわかりやすさを重視して憲法の参考書をランク付けしました。

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基本書

1位:芦部信喜『憲法』(岩波書店、第6版、2015年)

本書は憲法の基本書です。内容は以下の通りです。

  • 第一部 総論
    • 第一章 憲法と立憲主義
    • 第二章 日本憲法史
    • 第三章 国民主権の原理
    • 第四章 平和主義の原理
  • 第二部 基本的人権
    • 第五章 基本的人権の原理
    • 第六章 基本的人権の限界
    • 第七章 包括的基本権と法の下の平等
    • 第八章 精神的自由権(一)-内心の自由
    • 第九章 精神的自由権(二)-表現の自由
    • 第一〇章 経済的自由権
    • 第一一章 人身の自由
    • 第一二章 国務請求権と参政権
    • 第一三章 社会権
  • 第三部 統治機構
    • 第一四章 国会
    • 第一五章 内閣
    • 第一六章 裁判所
    • 第一七章 財政・地方自治
    • 第一八章 憲法の保障

憲法の基本書としては非常に万能で大学の試験、司法試験、その他国家試験の勉強においても有用な一冊です。

まず、ページ数が472ページという多くもなく、少なくもないちょうど良いボリュームとなっており、苦も無く読み進めることができ、かつ、物足りなさを感じることがありません。

内容は、網羅的で一つ一つの用語、概念の解説が丁寧になされており、その基本書としての役割を十分に果たしています。原著者の芦部先生は亡くなられましたが、お弟子の高橋和之が補訂をされており、最新の判例が追加補充されているため、新しい人権、重要な判例変更の説明も充実しています。但し、統治機構の分野の深い検討はなされていないため、統治機構の専門書を併せて読むことをおすすめします。

記述は、平易な日本語で書かれており、予備知識がなくても読み進めることができます。私が特に秀逸であると感じたのがナンバリングです。条文の要件・判例の基準・学説等に細やかにナンバリングがされており、重要な要件・基準、学説の対立が一目瞭然です。

以上のように、本書は基本書として非常に完成度が高く、他のいかなる憲法基本書よりも優れていると感じます。難点を挙げるとすると、縦書きのため少し読みづらいということです。

本書は、その基本書であるという性質上、判例、学説の細やかな検討がされているわけではないので、より深い知識を身につけたい人には、判例百選や論文等を併せて読むことをおすすめします。

2位:LEGAL QUEST『憲法Ⅰ 総論・統治』(有斐閣、第2版、2017年)/『憲法Ⅱ 人権』(有斐閣、第2版、2017年)

  • 第1章 憲法総論
  • 第2章 日本憲法史
  • 第3章 国民主権と天皇制
  • 第4章 平和主義
  • 第5章 国会
  • 第6章 内閣
  • 第7章 裁判所と司法権
  • 第8章 憲法訴訟
  • 第9章 地方の政治制度
  • 第1章 基本的人権総論
  • 第2章 幸福追求権
  • 第3章 平等
  • 第4章 思想・良心の自由
  • 第5章 信教の自由と政教分離
  • 第6章 学問の自由
  • 第7章 表現の自由
  • 第8章 経済活動の自由
  • 第9章 人身の自由
  • 第10章 社会権
  • 第11章 参政権
  • 第12章 国務請求権

有斐閣のLEGAL QUESTシリーズです。芦部憲法とは違って、人権と統治が2冊に分かれているので、各分野の説明が非常に詳細で判例の引用も多いです。練習問題も掲載されており、内容の理解を確認することができるのも親切です。特に良いと思ったのが、判例の変遷が整理されており、重要な判例変更の理由・根拠等を理解しやすいところです。

しかし、2冊を合わせると1000頁近くになるので、読破するには根気が必要です。通読するよりは、目次・索引が充実しているので、学習したい範囲・分野をつまみ読みすることをおすすめします。

3位:佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)

  • 第1編 憲法の基本観念と日本憲法の展開
    • 第1章 憲法の基本観念
    • 第2章 日本憲法の展開
    • 第3章 日本国憲法と国際社会
  • 第2編 国民の基本的人権の保障
    • 第1章 基本的人権総論
    • 第2章 包括的基本的人権
    • 第3章 消極的権利
    • 第4章 積極的権利
    • 第5章 能動的権利
  • 第3編 国民主権と政治制度
    • 第1章 国民主権の意味とその空間
    • 第2章 国会
    • 第3章 内閣
    • 第4章 天皇
    • 第5章 財政
    • 第6章 地方の政治制度
  • 第4編 法の支配と司法制度
    • 第1章 裁判所と司法権
    • 第2章 憲法訴訟

内容が充実しています。判例のみならず、学説の詳細な検討がされており、より深く学びたい人におすすめです。但し、出版年度が古いので、最新の判例等は別途判例集を参照する必要があります。しかし、統治の分野は上記の2冊よりも優れていると思います。

判例集

1位:憲法判例研究会編『判例プラクティス憲法〔増補版〕』(2014年)

概ね1判例1頁にまとめられており、重要な判例は複数ページに及びます。章全体を1名の執筆者が解説しているので、領域毎に整理された判例理論の流れを修得できる。司法試験といった資格試験においては、判例のすべてを理解するより、重要な点を部分的に理解することが大切です。本書のように判例と解説が1頁にまとまっていれば、効率的に学習することができます。

2位:戸松秀典・初宿正典『憲法判例』(第7版、2014年)

解説がなく、事実や判旨のほか、必要と思われるものについては個別意見が掲載されています。解説付きの判例集でも、判旨を繰り返しているだけのような分かりにくいものもあるので、むしろ解説なしの方が自身で考えて理解しようとできるので、より内容が定着すると思います。基本書と併用することで即座に判例を確認できる利点があります。

3位:『憲法判例百選Ⅰ』(第6版、2013年)/『憲法判例百選Ⅱ』(第6版、2013年)

判例百選シリーズです。内容は、事実、判旨、解説ですが、解説が非常に重厚です。学部のテストや資格試験にはあまり必要がないかもしれませんが、判例について詳しく研究したい方にとって足掛かりになると思います。

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