SNSによる著作権侵害

Twitter、Facebook、LINEなどのSNSでは、動画や画像を簡単にアップロードすることができます。しかし、それらの画像が他人の著作物であれば、著作権の侵害になる可能性があります。

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SNSの特徴

SNSの特徴では次の2点が重要と考えられます。

  1. ウェブを利用したサービスであること。
  2. 社会的なつながりを構築できること。

ウェブを利用している点で情報が広く、速く拡散されます。そして、社会的なつながりを構築することが目的にあるため、その情報は不特定多数の人物が利用・閲覧することになります。

著作権

著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)をいいます。10条1項は、著作物の例を挙げています。

一  小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二  音楽の著作物
三  舞踊又は無言劇の著作物
四  絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五  建築の著作物
六  地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七  映画の著作物
八  写真の著作物
九  プログラムの著作物

以上の定義に従えば、SNSで特に掲載される画像や動画も著作物に含まれるといえるでしょう。著作権は著作者の独占的排他的権利であるので、他人の著作物を利用する場合には、原則著作者の許諾が必要となります。

公衆送信権

以上のような特徴を有するSNSにおいて、他人の著作物を利用することは公衆送信権(著作権法23条)を侵害し得る可能性があります。

(公衆送信権等)
第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいいます。公衆送信には、放送(2条1項8号)、有線放送(同項9号の2)、自動公衆送信(同項9号の4)が含まれます。

著作権法によれば、公衆には、特定かつ多数の者を含むものとされている(2条5項)。TwitterやFacebookなどの不特定多数の者が閲覧可能なSNSの場合は公衆に含まれると考えられます。では、LINEなどの閉鎖的なSNSの場合はどうでしょうか。

裁判例においては、集合住宅の少なくとも24戸以上の入居者が利用者となり得ることをもって「公衆」に該当し得ると判示したものがあります((大阪高判平成19年6月14日判時1991号122頁))。しかし、当然ながらこの基準は絶対的なものではなく、個別的な事情に照らして「公衆」の基準は変化すると考えられます。

1対1のやり取りであれば、「公衆」とはいえませんが、少なくともごく少数である数名の範囲を超える場合は「公衆」に該当する可能性があると考えるべきであり、たとえ、閉鎖的なSNSであっても10人を超えるグループにおいて他人の著作物を使用することは、公衆送信権の侵害を構成することが十分に考えられます。

複製

仮に、公衆送信権の侵害に該当しない場合においても、他人の著作物を許可なく使用することは、著作者の複製権(21条)を侵害します。

(複製権)
第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

しかし、私的使用のためであれば、著作者の許諾がなくても複製することができます(30条1項柱書)。ここでいう「私的目的」とは、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」をいいます。「個人的に」とは、複製物を個人の趣味や教養のために使用することであり、商業目的での利用は認められません((東京地判昭和52年7月22日判タ369号268頁))。更に、「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」とは、相互に強い個人的結合関係のある少人数の集団を前提としています。例えば、大学のサークルなどがそれに当たります(但し、大規模なサークルであれば、私的目的とはいえません。)。

TwitterやFacebookなどの開放的なSNSにおいて、他人の著作物を利用することは私的目的の範囲を超えるといえるでしょう。また、閉鎖的なSNSの場合では、グループが相互に強い個人的結合関係のあるものでなければ、私的目的の範囲を逸脱すると考えられます。同じクラスであることや同じ職場であるといった程度の関係では、強い個人的結合関係にあるとはいえないでしょう。

権利侵害の効果

著作権者は、自身の著作権を侵害した者に対して、差止請求権(112条1項)、損害賠償請求権(民法709条・710条)及び名誉回復措置請求権(115条)を有します。また、著作権の侵害には、刑事罰が科されています(119条・124条)。但し、これらの罪は親告罪であり(123条1項)、著作者本人が告訴しない限り公訴を提起することはできません。

したがって、たとえSNSでの他人の著作物を利用していても、著作者が侵害を行っている者に対して、何らかの請求あるいは告訴を行わない限りは、侵害者は民事上および刑事上の責任は負いません

まとめ

以上のように、他人の著作物の利用は、TwitterやFacebookのような開放的なSNSであれば、著作権の侵害に当たります。また、LINEのような閉鎖的なSNSであっても、そのグループが「公衆」であれば、公衆送信権の侵害になり、私的目的の範囲を逸脱していれば、複製権の侵害に該当するといえます。著作物の利用が、一定のコミュニティ内であったとしても著作権の侵害を構成する可能性が十分あるので、その利用には十分注意を払う必要があります。

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