監査等委員会設置会社

監査等委員会設置会社とは

監査等委員会設置会社は,平成26年改正会社法によって導入された,監査役会設置会社と指名委員会等設置会社の中間的なガバナンスの仕組みです.監査等委員会設置会社には,指名委員会・報酬委員会を設置する必要はなく,その代わりに取締役の一部が監査等委員会となり,取締役会で経営の妥当性をチェックし,議決権を行使します.

指名委員会等設置会社では取締役と執行役が区別されるのに対し,監査等委員会設置会社では,執行役という機関が置かれることはなく,取締役のうち代表取締役および選定業務執行取締役が業務を執行する(363条1項).

監査等委員

監査等委員は取締役でなければなりません(399条の2第2項).監査等委員となる取締役はその他の取締役とは区別して株主総会決議で選任されます(329条2項).監査等委員となる取締役の任期は2年です(332条3項,4項).監査等委員会である取締役は,会社・子会社の業務執行取締役や使用人などと兼任できず(311条3項),また,3人以上で,その過半数は社外取締役でなければなりません(同条6項).

監査等委員の報酬は監査等委員ではない取締役とは区別して定められ,個別の報酬が定められていない場合には監査等委員の協議によって定められます(361条2項,3項).

監査等委員は以下の権限を有し,義務を負います.

  1. 監査等委員には,監査等委員の選任・解任・辞任等について株主総会で意見を述べる権利が与えられます(342条の2第1項~3項).
  2. 取締役が不正行為をし,もしくは不正行為をするおそれがあると認めるとき,または,法令・定款に違反する事実もしくは著しく不当な事実があると認めるときには,遅滞なく,その旨を取締役会に報告しなければなりません(399条の4).
  3. 取締役が株主総会に提出しようとする議案・書類その他法務省令所定のものにつき法令・定款違反または著しく不当な事項があると認めるときには,その旨を株主総会に報告しなければなりません(399条の5).
  4. 取締役が会社の目的の範囲外の行為その他法令・定款違反行為をし,または,これらの行為をするおそれがある場合で,当該行為により会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときには,当該取締役に対して当該行為をやめることを請求できます(399条の6第1項).
  5. 監査等委員会の職務の執行に関し,会社に対して,(1)費用の前払の請求,(2)支出した費用および支出日以後の利息の償還の請求,(3)負担した債務の債権者に対する弁済の請求をすることができます.但し,会社が,当該請求に係る費用・債務が当該監査等委員の職務の執行に必要でないことを証明した場合は,この限りではありません(399条の2第4項).

監査等委員会が選定する監査等委員は,以下の権原を有し,義務を負います.

  1. 株主総会において,監査等委員である取締役以外の取締役の選任・解任・辞任について監査等委員会の意見を述べることができます(342条の2第4項).
  2. 株主総会において,監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができます(361条6項).
  3. 取締役・支配人その他の使用人に対し,いつでも,その職務の執行に関する事項の報告を求め,または会社の業務・財産状況を調査することができます(399条の3第1項).
  4. 監査等委員会の職務を執行するため必要があるときは,その子会社に対して事業の報告を求め,または,その子会社の業務・財産の状況の調査をすることができます(399条の3第2項).

監査等委員会

監査等委員会はすべての監査等委員から構成されます(399条の2第1項).監査等委員会の職務は399条の2第3項が規定します.

監査等委員会は、次に掲げる職務を行う。
一  取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
二  株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定
三  第三百四十二条の二第四項及び第三百六十一条第六項に規定する監査等委員会の意見の決定

選定監査等委員は,株主総会において,監査等委員でない取締役の選任等について,また監査等委員でない取締役の報酬等について,監査等委員会の意見を述べることができます(342条の2第4項・361条6項).

監査等委員会が,監査等委員以外の取締役の自己取引・利益相反取引(356条1項2号3号)につき承認を与えた場合には,会社に損害が生じた場合の任務懈怠の推定規定(423条3項)は適用されません(4項).

取締役会

監査等委員会設置会社の取締役の職務は,399条の13第1項~3項に規定されています.

監査等委員会設置会社の取締役会は、第三百六十二条の規定にかかわらず、次に掲げる職務を行う。
一  次に掲げる事項その他監査等委員会設置会社の業務執行の決定
イ 経営の基本方針
ロ 監査等委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項
ハ 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
二  取締役の職務の執行の監督
三  代表取締役の選定及び解職
2  監査等委員会設置会社の取締役会は、前項第一号イからハまでに掲げる事項を決定しなければならない。
3  監査等委員会設置会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の中から代表取締役を選定しなければならない。

監査等委員会設置会社の取締役会は,経営の基本方針の決定,内部統制システムの概要,その他の業務執行の決定を行うとともに,取締役の職務の執行を監督し,代表取締役の選定・解職を行います.取締役会は原則,重要な業務執行の決定を取締役に委任することができません(同条4項).但し,取締役の過半数が社外取締役である場合や,その旨の定款規定を置いている場合には,多くの事項についてその決定を取締役に委任することができるます

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