会社の設立

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会社の設立

49条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

株式会社の設立は実体の形成と法人格の付与からなる。

実体の形成=定款の作成、株主の確定、会社財産の形成、機関の選任

法人格の付与=準則主義(法廷の手続の履行により国が法人格を付与)

発起人:設立を企画し設立事務を行い、会社設立の際に発行する株式を引き受け、出資を履行し、株主となる。発起人は少なくとも1株は引き受けなければならない。

25条 第二十五条  株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。

一  次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法

二  次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法

各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

  • 発起設立:会社設立時に発行される株式の全部を発起人が引き受ける(25条1項1号)。
  • 募集設立:発起人が一部を引き受け、残りは発起人以外の外部者による引き受けを募集する(25条1項2号)。

手続

定款の作成

26条 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

2  前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

絶対的記載事項(必ず記載しなければならない事項)

  • 会社の目的(27条1号)
  • 商号(2号)
  • 本店の所在地(3号)
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(4号)
  • 発起人の氏名・名称及び住所(5号)
  • 発行可能株式総数(37条)

相対的記載事項(記載は必要でないが、定款で定めないと効力が認められない事項)

任意的記載事項(事項の明確化を図る等の目的で記載される事項)

出資の履行

発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない(34条1項)。金銭の払込は、発起人の定めた払込取扱機関の払込取扱場所においてなされなければならない(34条2項)。期日までに出資の履行がなされないときは、当該発起人は出資の履行により設立時の株主になる権利を喪失する(失権、36条)。

失権の手続により、発起人は出資が履行された分だけで会社設立の手続きを進めることができるが、出資財産の最低額を満たさない場合には、設立無効事由となる。また、失権により1株も引き受けない発起人が生ずる場合にも設立無効事由となる。

出資の履行の仮装

  • 預合い

払込取扱機関の職員と通謀し、その機関から借入れをし、それを払込に充てること。外観上は払込口座に金が入金されていますが、それを返済するまでは引出さない約束(不返還の合意)をしているので、資本金を信用した債権者を欺くことになるし、実質的に会社財産を形成していない。

  • 見せ金

他から借り入れた金銭を株式の払込に充て、会社成立後、会社財産からそれを引き出し返済に充てること。会社財産を形成する意思が初めからないなど計画的な場合、実質的に会社財産を形成していない。

出資の履行の仮装について、出資の履行を仮装した発起人及びそれに関与した発起人は、払込給付の義務を負う(52条の2第1項)。関与者は、注意を怠らなかったことを証明すれば責任を免れる(2項)。仮装を行った者は、払込給付をしなければ、株主の権利を行使できないが、この株式を悪意・重過失なしに譲り受けた者は、株主の権利を行使できる(5項)。

変態設立事項

28条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。

一  金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)

二  株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称

三  株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称

四  株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

28条各号所定の変態設立事項は、検査役の調査を受けなければならない。

  • 現物出資

出資者は、金銭以外の財産で出資することもできる(現物出資)。現物出資を行うためには、現物出資者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数を定款に記載しなければならない(1号)。また、検査役調査を要する。33条10項各号に掲げる場合には、検査役調査が不要となる。

33条10項 前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。

一  第二十八条第一号及び第二号の財産(以下この章において「現物出資財産等」という。)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が五百万円を超えない場合 同条第一号及び第二号に掲げる事項

二  現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項 に規定する有価証券をいい、同条第二項 の規定により有価証券とみなされる権利を含む。以下同じ。)について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項

三  現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法 (昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項 に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項(当該証明を受けた現物出資財産等に係るものに限る。)

  • 財産引受け

発起人が会社のため、会社の成立を条件として特定の財産を引き受ける旨の契約を財産引受けという。財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称を定款に記載しなければならない(2号)。

  • 報酬・特別利益

設立後、発起人が受ける利益のうち金額が確定しているもの。報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称を定款に記載しなければならない。

  • 設立費用

会社設立のために必要な費用。その総額を定款に記載しなければならない。

募集設立

発起人が一部を引き受け、残りは発起人以外の外部者による引き受けを募集する(25条1項2号)。募集とは、公衆に呼びかけることだけでなく、縁故者を勧誘することも含まれる。募集に応じて設立時募集株式:設立時発行株式の引受けの申込みをした者に対し、割り当てられる株式。

63条 設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。

2  前項の規定による払込みをすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

3  設立時募集株式の引受人は、第一項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。

64条 第五十七条第一項の募集をした場合には、発起人は、第三十四条第一項及び前条第一項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。

2  前項の証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること又は第三十四条第一項若しくは前条第一項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限があることをもって成立後の株式会社に対抗することができない。

払込は、金銭で行う必要があり、現物出資は認められない。募集設立の場合に、払込取扱機関は払込金の保管証明の義務を負う。さらに、払込取扱機関は、保管証明の記載と事実が事実と異なること、又は、返還の制限(不返還の合意)がある等を主張して会社にその返還を拒むことはできない。

創立総会:設立時株主の総会。発起人は払込期日が経過すると招集しなければならない(65条1項)。

創立総会は、発起人が定めた目的事項について決議することができる。例外的に、定款の変更又は株式会社の設立の廃止について決議することができる(73条4項)。創立総会は、その決議によって定款を変更することができるが、「創立総会の変更権は、原始定款記載の変態設立事項が不当と認められる場合に、これを監督是正する立場から、かような事項を縮小または削除するためにのみ行使されるべきものであつて、創立総会で新たに変態設立事項に関する定めを追加し、あるいは既存の規定を拡張することは許されないものというべく、一八七条の規定する創立総会の定款変更権は、変態設立事項については及ばない」と解するのが一般的である。

創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う(73条1項)。

設立登記

49条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

登記事項は911条3項に規定されている。設立の登記によって、設立中の会社は法人格を取得し、株式会社が成立する。そして、設立中の会社に生じた法律関係は、成立後の会社に帰属し、設立時株主は株主となる(50条1項)。発起人は、株式会社の成立後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない(51条2項)。

設立中の法律関係

同一性説:設立中の会社には法人格がないので形式的に発起人に帰属することになる権利義務が、会社成立後に当然に会社に帰属する。

発起人の権限

設立を直接の目的とする行為(定款の作成(26条)、株式の引受け・払込に関する行為(36条)、創立総会の招集(65条1項)など)

設立のために必要な行為

  • 定款認証手数料・印紙税、払込取扱機関に支払う手数料・報酬、検査役の報酬、設立登記の登録免許税→定款の記載がなくても設立後の会社に帰属する(28条4項)
  • 設立費用:会社の設立に必要な費用であり、開業準備行為から生ずる費用を含まない。

発起人のした取引の効果は、定款に記載された額の限度において、会社に帰属し、相手方は会社に対してのみ支払を請求できる(大審昭和2年7月4日民集6巻428頁)。

財産引受け

定款に記載のない財産引受けは無効であり(28条)、成立後の会社に帰属しない。さらに、判例によれば、会社はそのような財産引受けを追認できないとする(最判昭和28年12月3日民集7巻12号1299頁)。

<最判昭和61年9月11日判時1215号125頁>-財産引受けの無効主張

【事実】

X会社は、保有する3つの工場のうち1つの工場に属する一切の営業をY会社の設立発起人Aに譲渡した。Y社の定款にはその財産引受けとしての記載はなかった。Yは、設立登記により成立し、上記工場の事業を承継し、譲渡代金の一部をXに支払った。しかし、Yの経営は思わしくなく事業活動が停止した。

XはYに対し、残代金の支払いを求めて訴えを提起し、財産引受けの定款記載を欠くことを理由に本件譲渡の無効を主張。

【判旨】

本件営業譲渡契約は、商法168条1項6号の定める財産引受けにYの原始定款に当たる。

本件営業譲渡契約は、Y社の原始定款に同号所定の事項が記載されているのでなければ、無効であり、しかも同条項が無効と定めるのは、広く株主・債権者等の会社の利害関係人の保護を目的とするものであるから、本件営業譲渡契約は何人との関係においても常に無効であって、設立後のY社が追認したとしても、あるいはY社が譲渡代金債務の一部を履行し、譲り受けた目的物について使用もしくは消費、収益、処分又は権利の行使などしたとしても、これによって有効となりうるものではないと解すべきであるところ、原審の確定したところによると、右の所定事項は記載されていないというのであるから、本件営業譲渡契約は無効であって、契約の当事者であるY社は、特段の事情のない限り、右の無効をいつでも主張することができるというべきである。

X社は本件営業譲渡契約に基づく債務を全て履行済みであり、他方Y社は右の履行について苦情を申し出たことがなく、また、Y社は、本件営業譲渡契約が有効であることを前提に、X社に対し本件営業譲渡契約に基づく自己の債務を承認し、その履行として譲渡代金の一部を弁済し、かつ、譲り受けた製品・原材料等を販売又は消費し、しかも、Y社は、原始定款に所定事項の記載がないことを理由とする無効事由については契約後約9年、株主総会の承認手続を経由していないことを理由とする無効事由については契約後約20年を経て、初めて主張するに至ったものであり、両会社の株主・債権者等の会社の利害関係人が右の理由に基づき本件営業譲渡契約を無効であるなどとして問題にしたことは全くなかった

既に遅滞に陥った本件営業譲渡契約に基づく自己の残債務の履行を拒むためのものであると認められ、信義則に反し許されないものといわなければならない。

開業準備行為

開業準備行為:会社が事業を始める準備として行う行為。判例によれば、財産引受けに関する規定をそれ以外の開業準備行為に類推適用できないとする。

商法168条1項6号の立法趣旨からすれば、会社設立自体に必要な行為のほかは、発起人において開業準備行為といえどもこれをなしえず、ただ原始定款に記載されその他厳重な法定要件を充たした財産引受のみが例外的に許されるものと解される(最判昭和38年12月24日民集17巻12号1744頁)。

発起人組合

発起人組合:会社設立の過程において発起人間に存する民法上の組合関係。

  • 行為が、発起人の権限内にあれば、成立後の会社に帰属する。
  • 行為が、発起人の権限内にはないが、発起人組合の目的の範囲にある場合は、発起人組合に帰属し、発起人全員が責任を負う(組合の対外取引行為は組合員の過半数により行われる)。
  • 行為が、発起人組合の目的の範囲にないが、発起人が独断で締結したものであれば、民法117条の類推適用により発起人は相手方に対して責任を負う。

会社の不成立

56条 株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。

会社が不成立の場合、発起人は無過失責任を負う。

会社設立の無効

会社設立無効の訴えは、設立登記から2年以内に、株主等だけが提起することができる(828条)。設立無効の判決の効力は第三者にも及ぶ(対世効、838条)。無効判決の効力は将来に向かってのみ及ぶ(遡及効を持たない、839条)。

無効事由

  • 定款の絶対的記載事項の欠如等の重大な瑕疵。
  • 設立時発行株式を1株も引き受けない株主がいる。
  • 公証人による定款の認証がない。
  • 株式発行事項につき発起人全員の同意がない。
  • 設立時に出資される財産の価額が定款に定められた金額に達しない。
  • 募集設立において創立総会が開催されていない。
  • 設立登記が無資格者の申請に基づく。

責任

財産価額の填補責任

52条 株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、発起人(第28条第1号の財産を給付した者又は同条第2号の財産の譲渡人を除く。第2号において同じ。)及び設立時取締役は、現物出資財産等について同項の義務を負わない。

一  第28条第1号又は第2号に掲げる事項について第33条第2項の検査役の調査を経た場合

二  当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合

株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。但し、①検査役の調査を受けたとき、または、②発起人又は設立時取締役が無過失を証明したときは、責任を免除される。この責任を免除するには総株主の同意が必要である。また、募集設立の場合には、無過失の証明による免責は認められない。

仮装の出資履行の責任

52条1項 発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。

一  第34条第1項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払

二  第34条第1項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)

出資履行を仮装した発起人は、会社に対して所定の金額の金銭を支払う責任を負う。出資の履行に関与した者は、無過失を証明すれば免責される(52条の2第2項)。

任務懈怠責任

53条 発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2  発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

募集設立における擬似発起人の責任

103条4項 第57条第1項の募集をした場合において、当該募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者(発起人を除く。)は、発起人とみなして、前節及び前三項の規定を適用する。

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