核兵器禁止条約が採択、実効に対する壁

核兵器の開発や保有、使用などを法的に禁止する初めての国際条約が、ニューヨークの国連本部で開かれていた交渉会議で賛成多数で採択されました。条約には100を超える国が参加する見通しですが、アメリカやロシアなどの核兵器の保有国や核の傘に守られた日本などは参加しない見通しで、世界の核軍縮にどのような影響を及ぼすのか注目されます。

NHK NEWS WEB:

(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170707/k10011049481000.html)

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核兵器禁止条約日本の不参加

核兵器禁止条約が国連で採択されましたが、日本は署名しないとの立場を採っています。日本の別所浩郎・国連大使は採択後、「日本が署名することはない。今後も核兵器のない世界をめざし、核保有国と非保有国の信頼関係を構築するため努力する」と米国などに同調する姿勢を示しました。日本は「北朝鮮の脅威といった現実の安全保障問題の解決に結びつくとは思えない」と3月の交渉会議初日に表明し、以降交渉に参加しませんでした。

米国の核の傘によって守られている日本にとって、安全保障上の関係から署名することができないところですが、唯一の核兵器の被害国が参加しないことに対して批判の声もあるようです。

この採決において、核兵器を保有する米国、ロシア、中国、英国、フランス等は投票しておらず、署名・批准もしないと考えられます。核保有国は、採択後次のような声明を出しています。

米「この条約は国際的な安全保障環境の現実を無視しており、一つの核兵器の削減にもつながらない」

英「この条約ができても我が国が核兵器について負う法的な義務にはなんの変化も起きない。いまの国際情勢下でこの条約は認められない」

仏「我が国の安全保障政策は核抑止に基づいており、その核の放棄は弱さを認めることであり、この条約の署名も批准もすることはできない」

国際法上、条約は批准しなければ拘束力を有しません。現実の核保有国が本条約に反対の立場を示している状況では、それらの国の核の保有を法的に禁止することはできません。

また、核廃絶というのは確かに人道的な観点から誰にとっても好ましいといえますが、現実的に考えれば、問題があります。今現在の安全保障は勢力均衡の下に成り立っており、国家が兵器を保有することによって他国への抑止力を生み、うかつな攻撃・威嚇ができず、平和秩序が保たれているのです。全ての国が同時に核を放棄すれば、勢力に不均衡は生じませんが、実際上はそうはいきません。隠密に核を保有している国も存在するかもしれません。核兵器の放棄により、国家の勢力に不均衡を生じさせてしまうと、逆に平和を脅かすことになるのです。

核兵器禁止条約は核の廃絶を目指すという大きな理想を持った画期的な条約であり、その理想は国際社会に拡大していくべきです。しかし、本条約に実効力を持たせるには、大きな現実的な障壁が存在するため、この条約が現状を変えるのは難しいといえます。

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