準拠法の決定

準拠法選択

抵触規則は、単位法律関係について連結点を基準として準拠法を指定します。

単位法律関係:対象となる法律関係(法律問題が何であるか、「相続」、「物権」、「離婚」など)。

連結点:準拠法選択の基準(当事者の国籍や常居所など)。

Ex)通則法36条の場合

相続は、被相続人の本国法による。

この場合、単位法律関係は「相続」に、連結点は「被相続人の本国法」となります。準拠法は、基本的にこの2つを基準として、決定されます。

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抵触規則の分類

  • 一方的抵触規則:ある特定の法が準拠法として指定される場合のみを規定する。
  • 双方的抵触規則:内国法であるか外国法であるかにかかわらず、準拠法として指定される場合を一般的に規定する。

連結点

客観的連結

  • 属人的連結:法律関係に関与する当事者の国籍、常居所等に着目する(相続人の国籍(36条)など)。
  • 属地的連結:法律関係を構成する物・行為についての場所に着目する(不法行為の発生地(17条)など)。

主観的連結

主観的連結は、関係当事者の意思に基づいて準拠法を決定します。これを一般的に当事者自治といいます。

7条 法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

7条によれば、当事者が合意により準拠法を指定している場合には、その方が準拠法となります。

様々な連結政策

  • 原則的連結:単位法律関係:連結点:準拠法 = 1:1:1で準拠法が決定する。
  • 段階的連結:複数の要素が組み合わさった連結点の一致を要件とし、それが満たされない場合に、次順位の連結が用意されている。

25条 婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

25条によれば、第一に、夫婦の本国法が同一のときはその本国法、第二に、夫婦の常居所が同一のときはその法、第三に、夫婦の最密接関係地法、というように準拠法が段階的に決定されます。

  • 配分的連結:1つの法律関係を、当事者間において関係する部分に分けて、各部分についての準拠法を決定する。

24条1項 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。

  • 最密接関係地法:準拠法は最密接関係地法だと直接規定する。

8条1項 前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。

  • 例外条項:抵触規則により指定された法よりも、より事案に密接に関係する法がある場合に、例外的にその法の適用を認める。

15条 前条の規定にかかわらず、事務管理又は不当利得によって生ずる債権の成立及び効力は、その原因となる事実が発生した当時において当事者が法を同じくする地に常居所を有していたこと、当事者間の契約に関連して事務管理が行われ又は不当利得が生じたことその他の事情に照らして、明らかに同条の規定により適用すべき法の属する地よりも密接な関係がある他の地があるときは、当該他の地の法による。

20条 前三条の規定にかかわらず、不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、不法行為の当時において当事者が法を同じくする地に常居所を有していたこと、当事者間の契約に基づく義務に違反して不法行為が行われたことその他の事情に照らして、明らかに前三条の規定により適用すべき法の属する地よりも密接な関係がある他の地があるときは、当該他の地の法による。

  • 選択的連結:一つの単位法律関係につき、複数の連結点を用意し、それぞれにより指定される準拠法のいずれの適用も認める。

28条1項 夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは、その子は、嫡出である子とする。

28条1項は、準拠法として夫の本国法(α)と妻の本国法(β)の2つの準拠法を指定します。適用した結果、αとβいずれでも嫡出親子関係が成立する場合、αのみにより成立する場合、βのみにより成立する場合、すべてにおいて嫡出親子関係の成立を認めます。

  • 累積的連結:当該事案において、複数の準拠法が指定されている場合に、いずれでも肯定されなければならないとする。

31条1項 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。

31条1項によれば、前段の養親の本国法及び養子の本国法の要件を満たさなければ養子縁組は成立しません。

法律関係の性質決定

法律関係の性質決定:具体的事案において法律関係が抵触規則の定めるどの単位法律関係の性質を有するのかを決定する

問題は、法律関係の性質決定は、いずれの国の法を基準として行われるかです。

  • 法廷地法説

法律関係の性質決定は、法廷地の実質法により行われるという考えです。但しこれは、法廷地法を優先させるため、内外法平等の原則に反します。

  • 準拠法説

法律関係の性質決定は、準拠実質法を基準に行われるという考え方です。しかし、性質決定がなされなければ、準拠法は決定されないため、循環論におちいるという問題があります。

  • 国際私法自体説

国際私法独自の立場から法律関係の性質決定を行うという考え方です。

  • 判例

最判平成6年3月8日民集48巻3号835頁

<事実>

台湾人Aの死亡により、Aと日本人母Bとの間の子Xらは、A所有の土地建物を各16分の1の持分を相続した。BはXらの親権者として、Xらの持分を不動産開発会社Yに売り渡し、Yへの持分移転登記がなされた。XらはYに対して、①売買契約の詐欺による取消し、②納税債務の不履行による本件売買契約の解除、③準拠法たる中華民国法の適用による本件売買契約の無効を主張した。問題は、遺産分割前に相続財産の持分を処分することができるか、そして、共同相続人の一部による遺産分割前の財産の処分に物権変動の効果が生じるかである。

<判旨>

本件においては、Aの相続人であるXらが、その相続に係る持分について、第三者であるYに対してした処分に権利移転(物権変動)の効果が生ずるかどうかということが問題となっているのであるから、右の問題に適用されるべき法律は、通則法13条2項により、その原因である事実の完成した当時における目的物の所在地法、すなわち本件不動産の所在地法である日本法というべきである。もっとも、その前提として、Xらが共同相続した本件不動産に係る法律関係がどうなるか(それが共有になるかどうか)、Xらが遺産分割前に相続に係る本件不動産の持分の処分をすることができるかどうかなどは、相続の効果に属するものとして、通則法36条により、Aの出身地に施行されている民法によるべきである。

相続の準拠法によれば、本件不動産は共同相続人の合有に属し、Xらは、遺産の分割前においては、共同相続人全員の同意がなければ、相続に係る本件不動産の持分を処分することができないというべきところ、右持分の処分(本件売買)がAの遺産の分割前にされたものであり、かつ、右処分につき共同相続人全員の同意を得ていない。…①

そうすると、Xらが相続準拠法上の規定を遵守しないで相続財産の持分の処分をしたとすれば、その処分(本件売買)に権利移転(物権変動)の効果が生ずるかどうかが次に問題となるが、前示のとおり、この点は日本法によって判断されるべきところ、日本法上は、右のような処分も、処分の相手方である第三者との関係では有効であり、処分の相手方は有効に権利を取得するものと解するのが相当である。…②

以上によれば、本件売買契約がAの共同相続人全員の同意を得ることなく締結されたとしても、物権の移転に関する準拠法である日本法によれば、右契約による権利移転の効果が認められるものというべきである。

評価

本件の問題は、①を相続に含める理由として「相続の効果」であるとするのみなので、①が相続の問題として性質決定されるかが不明確です。また、②を物権に含める理由は、「持分の第三者への処分が権利移転の効力を有するかどうかという問題であるから」であり、いずれもトートロジーにすぎない(櫻田嘉章 百選1事件)、ということになります。

まとめ

法律関係の性質決定は、抵触規則間の事項的適用範囲を画定の問題であり、各規定の趣旨及び目的に照らして指定概念を構成すべきと考えられます。

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