反致

反致とは

反致とは、法廷地の国際私法によって指定された準拠法が所属する国の国際私法が、法廷地法または第三国法を準拠法として指定しているときに、その外国の国際私法の立場を考慮して、法廷地法または第三国法を準拠法とするのを認めることをいいます。

反致の種類

  • 狭義の反致

法廷地A国の国際私法によればB国法が適用されるが、B国の国際私法によればA国法が適用されるときに、A国の裁判所がA国法を適用する場合。

  • 転致(再致)

A国の国際私法によればB国法が適用されるが、B国の国際私法によればC国法が適用されるときに、A国の裁判所がC国法を適用する場合。

  • 間接反致

A国の国際私法によればB国法が適用され、B国の国際私法によればC国法が適用されるが、C国の国際私法によればA国法が適用されるときに、A国の裁判所がA国法を適用する場合。

  • 二重反致

A国の国際私法によればB国法が適用され、B国の通常の国際私法によればA国法が適用されるが、B国の国際私法が反致を認めるため結局はB国の裁判所がB国を適用するとき、法廷地A国の裁判所はB国法を適用する場合。

日本における反致

法の適用に関する通則法41条

当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)又は第三十二条の規定により当事者の本国法によるべき場合は、この限りでない。

法の適用に関する通則法41条によれば、(1)「当事者の本国法によるべき場合」、つまり、通則法の規定が「本国法」として外国法を指定した場合(通則法4条1項、24条1項・3項、28条~31条、33条~37条)に、(2)「その国の法に従えば日本法によるべきとき」、つまり、外国国際私法が日本法を準拠法として指定する場合(狭義の反致に反致が認められます。

隠れた反致

隠れた反致とは、法廷地国が当事者の本国法として指定した外国法に完全な抵触規則が存在していなく、また、ただ当該事件に関係する裁判管轄権の規定のみがあるのだという特殊な場合に、その裁判管轄権規則の中から抵触規則を見出し、そしてそれが住所地主義を取っている場合、それに従って住所地への反致を認める理論のことをいいます。

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青森家裁十和田支部平成20年3月28日

【事実】

日本に居住する米国籍のXらは日本人Zの養子縁組の申立てを行った。

【判旨】

認容(確定)。

(1)  本件養子縁組に関する準拠法は、法の適用に関する通則法(以下「通則法」という。)31条1項前段により、養親となるべき者、すなわちXらの本国法が適用される。同国内には、その適用法を統一して指定する規則がないと認められるから、当事者に最も密接な関係がある地域の法が、その本国法になると解すべきである。

X₁と最も密接な関係がある地域とはテネシー州であると認められ、X₁の本国法は、アメリカ合衆国テネシー州の州法であると認める。X₂と最も密接な関係がある地域もテネシー州であって、X₂の本国法も、アメリカ合衆国テネシー州の州法であると認める。

(2)  Xらはいずれも平成8年(1996年)ころから日本国の○○県○○市内に居住し、現時点では、無期限で同所での生活を続けるつもりであって、アメリカに帰国する予定はないというのであるから、英米法上にいうところの住所たるドミサイル(domicile) は、日本国内にあると認められる。

そして、Xらの本国法であるアメリカ合衆国テネシー州法(36-1-114)では、養子縁組の場合の裁判管轄権は、①養子縁組の申立人の居住地、②子の居住地、③子が公的機関による保護を受けるに至った時の居住地、④子の監護権又は後見の権利を有する公認機関もしくは子の引渡を受けている公認機関の所在地、のいずれかにあることが規定されており、他方で、アメリカ合衆国のアメリカ抵触法第2リステイトメント(Restatement of The Law Second Conflict of Laws 2d)289条によれば、裁判所は、養子縁組の裁判につき、常に、当該法廷地法を適用する旨定めているところである。

本件においては、テネシー州法上も、その裁判管轄権は我が国のみにあることとなる。

かかる場合においては、裁判管轄権を有する法廷地法をもって事件審理の準拠法とする旨定めた前記アメリカ抵触法第2リステイトメント289条の法理に従い、本申立てについてのいわば専属的な裁判管轄権のある日本法が、その準拠法として適用されると解するのが相当である

単位法律関係を養子縁組、連結点を養親の本国法(31条)として、準拠法が米国法になる。しかし、米国には当事者の本国法を特定するための統一的な「規則」がないため、各養親の最密接関係地法が本国法になる。X₁及びX₂いずれも最も関係のある地域はテネシー州であり、本国法はテネシー州法と認められる。

テネシー州法上の養子縁組の裁判管轄権は、①養子縁組の申立人の居住地、②子の居住地、③子が公的機関による保護を受けるに至った時の居住地、④子の監護権又は後見の権利を有する公認機関もしくは子の引渡を受けている公認機関の所在地で認められている。Xらは日本にドミサイルを有しているため、日本に国際裁判管轄権がある。そして、アメリカ抵触法第2リステイトメント289条によれば、養子縁組の準拠法は法廷地法つまり裁判管轄権を有する国の法となる。

以上のことから、本件養子縁組に関する準拠法は、日本法ということになる。

評価

本判決は、裁判管轄のみを定めるテネシー州法には、裁判管轄権を持つ場合の養子縁組の準拠法は法廷地である、という「隠れた」抵触規則が推認できるとして、日本法を準拠法としています。しかし、そのような管轄規則は、自州法が適用される場合だけを定める一方的抵触規定であって、日本法の適用をも定める双方的抵触規定ではないため、テネシー州法が、日本法を指定したとするのは論理的に困難であると考えられます。

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